山地酪農について

このINAHOFARMの広大な敷地をどう活かしたら良いか?

数年かけて思案していたところ、沖縄大学の樋口先生の紹介で、中洞氏の山地酪農の話を聞いた。早速本を購入し、「これだ!山地酪農こそ沖縄でピッタリな方法だ」と確信したのであった。

沖縄は島国で牛の餌を海外から入れるにはコストがかかるし、一年中温暖な気候だから冬でも草がなくなることはない。自然と牛とが共存でき、そのお裾分けを人間はいただく訳である。沖縄の場合は、山と言っても丘程度の高さしかないが、狭い土地を流れる川の影響で起伏がある丘だ。

野草と野芝を植えて育てていけば、牛の糞尿が堆肥になる。実は糞尿は環境問題になっている。放牧で育てている牛は全国でも15%くらいしかないという。糞尿処理はエネルギーもコストもかかるし、これから始めるには環境負荷が高いが、放牧で牛が歩き回り、糞尿する分には自然の分解力が勝り、草地の栄養となる。牛は本来草食で穀物を食べない。草しか食べていない牛の糞は、全然臭いがしない。ジャージー牛を譲っていただいた玉名牧場の矢野さんは、フンを食べても大丈夫と食べていた!知らない世界があるもんだと感嘆した思い出がある。

人間が食べられないものを牛が食べてくれて、その牛から人間は自然の恵みをいただく。豊かな循環が生まれることで永続性のある農業ができると考えたのだ。また後からこれも知ったのだが、私がIT企業を経営していたときの取引先であった会社が、中洞牧場をグループ化して一緒に経営していたのである。不思議な縁もあり、昔のよしみでお話を聞かせていただいた。農業で出会った方は惜しみなく知識や経験を伝えてくれる。先人たちの命の繋ぎがあって今があることを自然と感じられる。

山地酪農の提唱者である猶原恭爾博士のお陰で今がある。直接やちゃんと習ったわけではなく自己流ではありますが、可能性を提示してもらっただけでありがたいことだ。生産量も少ないけどそれが本来自然な姿なのだろう。かといって工業化された現代の酪農を否定するのは短絡過ぎる。それぞれの地域にあった方法で、環境負荷や牛への負荷など考えながら最適解を各自が模索していくしかないと思う。